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大阪高等裁判所 昭和58年(う)248号 判決 1985年3月14日

本店所在地

大阪市北区池田町九番七-六一三号グランドビア北天満六階

有限会社徳島商事

右代表取締役 吉村一郎

本籍

大阪市北区梅田一丁目八番地

住居

大阪府豊中市東寺内町一一-二三緑地東グランドマンション五〇六号

賃貸業等

高橋カイ

大正九年八月一〇日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、昭和五七年九月二八日大阪地方裁判所が言渡した判決に対し、被告人両名から控訴の申立があったので、当裁判所は次のとおり判決する。

検察官 大井恭二 出席

主文

本件控訴を棄却する。

理由

本件控訴の趣意は、弁護人大槻龍馬作成の控訴趣意書のほか、同弁護人作成の「控訴趣意書の補完について」「控訴趣意補充訂正書」と題する各書面記戴のとおりであり、これに対する答弁は、大阪高等検察庁検事能登哲也作成の答弁書記戴のとおりであるから、これらを引用する(ただし、控訴趣意中審理不尽の主張は、独立の控訴理由として主張する趣旨ではなく、原判決が事実誤認をきたした事由として主張する趣旨である旨、弁護人において釈明した。)。

第一控訴趣意第一点について

論旨は、要するに、事実誤認を主張し、原判決は、同判事業年度における被告会社の実際総所得金額を算定するにあたり、

一、総売上高に関し、1.入浴料収入が合計二億一五二万九、〇〇〇円であるのに、これを二億五一九万三、〇〇〇円と、2.ドリンク代収入が一、三九三万六、五〇〇円であるのに、これを一、四一八万六、五〇〇円と、3.ホステスから徴収していたタオル使用料等(タオル使用料、掃除代、食事代及びミニコール代)収入が、合計七八七万一、三〇〇円であるのに、これを合計一、一九一万八、三〇〇円とそれぞれ認め、

二、損金として認容されるべき以下の各金額、すなわち、1.被告会社の交際費七万九、九一六円、2.消耗品費六、八四〇円(吉田薬品会社に対する支払のうち六、八四〇円の領収証分)、(なお、簿外の消耗品費がほかにもあると思われる。)、3.修繕費一三〇万五、九七五円(椿本ロックサービスに関するもの四万四〇〇円、及び大工和田勇に関する一三六万八、七〇〇円から原判決認定の一〇万三、一二五円を差し引いた一二六万五、五七五円)、4.広告費九七万五、〇〇〇円(株式会社図南に関するもの)、5.雑費一万九、六四五円(かわさきに関するもの二、五〇〇円、ナショナル花宛に関するもの一万円及びイチャ商事株式会社に関するもの七、一四五円)、6.研修費二四七万六、五四〇円(見学費用一四七万六、五四〇円、コーチ料一〇〇万円)をいずれも否定しており、これらの事実認定の誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかである、

というのである。

よって検討するのに、関係証拠によれば、被告人有限会社徳島商事(以下被告会社という。)は、昭和五一年一月三〇日特殊浴場業等を目的として、豊中市服部本町四丁目三番六号に本店をおき(本店は、昭和五三年一〇月二二日吹田市広芝町一三番二八号メゾン広芝二〇六号に、昭和五九年三月三一日大阪市北区池田町九番七-六一三号グランドビア北天満六階にそれぞれ移転された。)資本金三〇〇万円で設立された法人であり、昭和五一年七月二三日から大阪市北区曽根崎一丁目六番七号の新火星ビル四階ないし六階において、「トルコ大閣」の名称でいわゆるトルコ風呂営業を行い、浴室二六室を備え、従業員五名、ホステス約三五名を使用していたこと、被告会社の代表取締役は、松丸元次郎であった(同人は、昭和五四年三月三一日辞任し、同年四月一二日吉村一郎が代表取締役に就任―同月二四日登記)が、被告人高橋カイが被告会社の実質上の経営者としてその業務全般を統括していたこと、被告会社の営業年度は、毎年七月一日から翌年六月三〇日までの年一期であったこと、以上の事実を認めることができる。

そこで、以下各論点について判断する。

(一)  入浴料収入について

本件総売上高の大部分を占める入浴料収入の算定に関しては、原判決も判示するように、検察官の主張も、原判決の認定も、原判示事業年度(昭和五一年七月一日から昭和五二年六月三〇日まで)期間のうち、入浴料を確定しうる客観的証拠の存する期間については、これに基づいて直接入浴料収入を算定し、そのような証拠のない期間については、まず入浴客一人当たりの平均タオル使用数を算定し、これをもってタオル使用数を除して入浴客数を推計し、これに客観的証拠の存する期間の入浴客一人当たりの平均入浴料金を乗ずることによって入浴料収入を算定するという方法を採っており、この推計方法じたいの合理性については当事者間に争いはなく、当裁判所の見解も同様である。そして、このような客観的証拠のある期間(合計一〇七日)の入浴客数、入浴料、入浴客一人当たりの入浴料が次のとおりであることも証拠上明白である。

<省略>

ところで、右のような客観的証拠のない期間の入浴料収入の算定に関し、上記推計計算の基礎とすべき入浴客一人当たりの平均タオル使用数の算定につき、原審において、検察官が、客観的証拠によって入浴客数を確定しうる昭和五一年七月二三日から同年八月二〇日まで、同年九月一七日から同年一一月二六日まで、同月二九日、同年一二月一日から同月六日までの合計一〇七日間における入浴客数をもって、その期間におけるタオル使用数(当日のタオル納入数((タオル納入数は全期間について判明している。))と前日及び当日の残高によって各日毎のタオル使用数を確定しうる場合ばかりでなく、一定期間のタオル使用数を推計しうる場合を含む。)を除して、この期間の入浴客一人当たりのタオル使用数を一・四七セット、切り上げて一・五セット(一セットは、大二枚、小二枚よりなる。)と算定すべきであると主張し、弁護人が、月間を通じて客観的証拠により入浴客数及びタオル納入数を確定しうる昭和五一年一〇月分を採って入浴客一人当たりのタオル使用数を一・五三セットと算定すべきであると主張したのに対し、原判決は、そのいずれについても各日毎のタオル使用数の判明しない期間をその計算の基礎としておるものであって合理的でないとしてこれを採らず、入浴客数と各日毎のタオル使用数を「物証により完全に確定できる」期間(タオル使用数については当日の納入数と前日及び当日の残高により各日毎の使用数を確定しうる期間)を採って入浴客一人当たりのタオル使用数を算定するのを相当と認め、別紙(一)入浴客数、タオル使用総数、タオル使用総数一覧表記戴のとおり、三三日間を採って入浴客一人当たりのタオル使用数を一・四五セットと算出し、検察官の主張を考慮して被告人に有利に切り上げ一・五セットを基準としたのである。しかしながら、右推計の基礎となる入浴客数及びタオル使用数は、できる限り長時間にわたるそれを採択するのが合理的であることに加え、右誰計上各日毎の入浴客数とタオル使用数を確定することは必ずしも必要でなく、一定期間における入浴客数とタオル使用数を確定しうれば十分であることに照らすと、右三種の算定方法のなかでは、検察官主張のそれが最も合理的であり、これによれば、次表に示すとおり、入浴客一人当たりのタオル使用数は、一・四七セットとなり、これを切り上げて一・五セットとすることも首肯するに足り、当裁判所もこれに従うのが相当であると考える。もっとも、原判決も前記のとおり、結局一・五セットを採用しているのであるから、この点について原判決に誤りはない。

<省略>

所論は、(1)タオル納入業者からの納入数の全部が使用ずみとなって納入業者に返還されるものではなく、納入数の約九〇パーセントが返還されるにとどまり、残りの約一〇パーセントは、ホステスが勝手に持ち帰ったり、雑巾代りに使ってしまったりしているのであって、タオル納入数をそのまま使用数として入浴客数の推定計算の根拠とはなしえない、(2)原判決は、別紙(一)入浴客数、タオル使用総数一覧表の期間について、入浴客数と各日毎のタオル使用数とを「物証により完全に確定できる」というけれども、右一覧表によれば、昭和51・11・6、51・11・24の入浴客数がそれぞれ七九人、六三人、八〇人であるのに、そのタオル使用数がそれぞれ五六セット、四八セット、五三セットとなっており、一人が一セット使用するとしても、右三日間を合計すると、二二二名の入浴客中全くタオルを使わなかった客が六三名もあるという、現実にはありえない事象の存在を肯定せざるをえないことになるので、とうてい首肯しがたい、(3)本件ではタオル納入数は正確に把握できるが、使用数量を正確に把握できる資料がないのであるから、月間を通じて客観的証拠により入浴客数及びタオル納入数を確定しうる昭和五一年一〇月分を採って入浴客一人当たりのタオル使用数を一・五三セットとした弁護人主張の算定は、タオルの盗難転用を考慮から除外して控え目に主張したものであって、合理性があり、かつ常識にかなったものである(右比率によって算出した入浴客数は、原判示事業年度につき合計二万七、八七三人となる。)、という。

なるほど、本件では、タオルの納入数は前記事業年度の全期間にわたってこれを確定しうるが、客の使用に供されたタオルの数を正確に把握しえないことは所論のいうとおりである。ただし、納入業者から納入されるタオルのうち、紛失盗難のほか、ホステスその他の従業員の浴用に供されたり、雑巾代りに使用されるなど、客の使用に供されないものがあることは、当審証人野杯法親の証言その他関係証拠によって容易にうかがうことができるばかりでなく、若干の期間について明らかにされている残高も、「トルコ大閣」の五階及び六階のタオル置場に残存しているタオルを従業員が計算したものであって、その計算違いはこれを考慮外におくとしても、右証拠によれば、ホステスの中には、相当期間特定の浴室の使用を専属的に許容されている者があり、その場合には、その浴室に未使用のタオルがストックされ、翌日以降の使用分として持ち越されることのあることが認められ、したがって、五階及び六階のタオル置場に残存しているタオルの計数を行っただけでは、正確な残高を明らかにしえないからである。しかしながら、本件における入浴客算定のための推計の基礎資料としてのタオル使用数は、要するに入浴客数との相関関係を明らかにするためのものであるから、必ずしも客の使用に供されたタオル数を正確に算出する必要はなく、できる限り長時間にわたって本件証拠上最も信頼しうるものであるタオル納入数を採り、期首期末における残高によるわずかな修正を施したものを使用数とすることによって十分その目的を達しうるものといわなければならない(相当の期間について考察すれば、前記のように客の使用に供されないで終わるタオル数は、全使用=納入数に対して一定の平均的な比率で存在すると推認されるからである。)。とすれば所論のいうように基準期間を昭和五一年一〇月に限定する合理的理由はなく、タオル納入数のほか入浴客数を確定しうる期間をできる限り長く採ること、すなわち、前記のように検察官主張の方法によって入浴客一人当たりのタオル使用数を算定するのが最も適切であると考えられる。とすると、別紙(一)入浴客数、タオル使用総数一覧表中タオル使用数(セット数)が入浴客数より少ない日に関する所論の論難の当たらないことはいうまでもなく(タオル使用数((セット数))が入浴客数より少ないことじたいも、右に説示した浴室におけるタオルのストックの状況及び一セット中のタオルの枚数を考慮すると必ずしも所論のいうように不合理なものとはいいがたい。)、結局入浴客一人当たりのタオル使用数一・五という原判決の認定に誤りがあるとは解されない。

そこで、入浴客一人当たりのタオル使用数一・五という比率を用い、前記推計方法(当事者に争いのないもの)に従って、客観的証拠により入浴料を直接算定しうる上記一〇七日間を除くその余の原判示事業年度の期間につき入浴料収入を算定すると(この期間の入浴客数一万九、九二九名、なお入浴客一人当たりの平均入浴料金は、昭和五一年七月二三日以降六、四八六円、同年一二月一日以降八、〇一一円)、一億四、七八九万五、〇〇〇円となり、したがって、これと前記客観的証拠のある期間の入浴料収入を合算し、右事業年度における入浴料収入を合計二億五一九万三、〇〇〇円とした(右年度における入浴客数は合計二万八、三七三名)原判決の認定に誤りはないといわなければならない。

(二)  ドリンク代収入について

所論は、その主張にかかる右事業年度の全入浴客数二万七、八七三人を前提として算出したドリンク代収入に基づいて原判決の認定を論難するのであって、その採用しがたいことは、(一)に説示したところによって明らかであり、この期間の全入浴客数を二万八、三七三名として、ドリンク代収入を一、四一八万六、五〇〇円とした原判決の認定は、正当として是認できる。

(三)  タオル使用料等収入について

被告会社がホステスから徴収していたタオル使用料(一日二〇〇円)、掃除代(一日五〇〇円)、食事代(一日一、〇〇〇円)及びミニコール代(一日一、〇〇〇円)に関し、所論は、掃除代を除くその余の分につき原判決の認定と異なる徴収期間を主張し、これを前提として原判決認定の金額の誤りをいうのであるが、関係証拠によれば、掃除代及び食事代は、昭和五一年七月二三日から、タオル使用料は、同年一〇月一日から、ミニコール代は昭和五二年四月一日から(いずれも右事業年度末まで)それぞれこれを徴収したとした原判決の認定は、相当であって食事代及びミニコール代に関する原判決の説示は、当裁判所も首肯でき(タオル使用料を昭和五一年一〇月一日から徴収していたことは、収税官吏の高田貞夫に対する昭和五二年一一月二四日付質問てん末書によって明らかである。)、これに基づきタオル使用料等収入(右四者を含む)を合計一、一九一万八、三〇〇円と認めた原判決に誤りはない。所論にかんがみ、当審において被告人高橋カイに対する詳細な質問を許容し、その結果を加えて検討しても、右判断を左右するに足る事由はこれを見出しがたい。

(四)  交際費について

所論の指摘する交際費は、株式会社大松に関する五万四、二四六円(昭和五一年九月二八日付領収証((当裁判所昭和五八年押第一三〇号の二七雑書綴中のもの))によるもの)、カフエシヤタンに関する一、三〇〇円(同年一二月五日付領収証((同押号の二八領収書および請求書綴中のもの))によるもの)、キャバレーハワイに関する一万二、六七〇円(同月一四日付領収証((同押号の三〇領収証綴中、大融寺ハワイ店名義の公給領収証))によるもの)、鳥料理てころに関する一万一、七〇〇円(昭和五二年二月二日付領収証((同押号の二七雑書綴中のもの))以上合計七万九、九一六円であるが、これらの各支出を被告会社の簿外交際費として認定しなかった理由として原判決の説示するところは、当裁判所もこれを首肯することができ、原判決の事実認定に誤りはない。

(五)  消耗品費について

所論は、被告会社の吉田薬品株式会社に対する支払のうち六、八四〇円が検察官において主張立証した簿外の消耗品費に含まれている旨の原判決の判断を論難し、原判決認定の消耗品費のほかに六、八四〇円の簿外の消耗品費を認定すべきであると主張するのであるが、雑書綴(前同押号の二三雑書綴)中の吉田薬品株式会社名義徳島商事あての六、八四〇円の領収証は、嶋瀬茂作成の昭和五三年三月九日付確認書添付の昭和五一年一一月二七日付の六、八四〇円の入金伝票写と同一の取引に関するものと解され、収税官吏作成の査察官調査書(検察官請求番号三六)その他関係資料によれば、右が検察官において主張立証し原判決の認定した簿外経費に含まれているものと認められる(吉田薬品株式会社に関する昭和五一年一一月分簿外経費五万八、八四八円中の一部)ので、所論は前提において誤っていることが明らかである。そしてその他にも簿外の消耗品費があるとの所論に照らし、関係証拠を調査しても原判決に消耗品費の計上洩れがある疑いはない。

(六)  修繕費について

所論の指摘する椿本ロックサービスに対する四万四〇〇円の支払について、原判決が、これに関する領収証(前同押号の二八領収書および請求書等綴中のもので、あて先、領収日付白地のもの)を、公表処理されている同一作成名義の各領収証(昭和五二年四月二〇日付、同年六月二〇日付で、同押号の二四伝票綴中のもの)と対比し、その用紙及び様式の相違、あて先及び領収日付記戴の有無等を検討し、前者を被告会社あての領収証と認めなかったこと、また大工和田勇に関するものについて、原判決が、その摘示する証拠に基づき、被告人高橋カイの所有する新火星ビルの屋上及び地下における工事に関する支出は同被告人の個人的に負担すべきものであり、同大工の請負にかかる工事中、被告会社に関するものは、昭和五二年五月二六日から同年六月一日まで、同月一一日及び同月一二日施工のものだけであるとし、材料費を日数按分して推計したうえ、同大工に関する被告会社の修繕費を一〇万三、一二五円と認定したこと、以上の原判決の認定は、いずれもこれを首肯することができ、当審における被告人高橋カイ質問の結果を併せ検討しても右判断に消長をきすべきものがあるとは考えられない。

(七)  広告費について

原審証人太田桂子の証言によれば、株式会社図南作成名義有限会社徳島商事あての、昭和五一年一〇月二〇日付金額一一八万円の領収証及び同年九月〆日付の同金額の請求書(原審第八回公判調書中同証人に関する証人尋問調書末尾に各写添付)は、株式会社図南(同年七月三日倒産)名義でこれを作成する権限のある者によって作成されたものでなく、偽造にかかるものであることが認められるが、同証言その他関係証拠によれば、右領収証は、同会社に出入りしていた岩井喜代士が同会社の領収証用紙及び印鑑を使用して作成し、被告会社に差し入れたものであることを推認することができる。これに加えて、右証言のほか、収税官吏の高田貞夫に対する昭和五三年三月三日付質問てん末書、原審証人森山卓雄の証言並びに被告人高橋カイの原審及び当審公判廷における各供述その他開係証拠を総合検討すると、被告会社が「トルコ大閣」開店の際、その宣伝のため、ブローカーの岩井喜代士に依頼し、同人を通じて業者に捨て看板一、五〇〇本を作成させて街頭に取りつけたほかサンドウィッチマンを使用した事実があり、岩井が、その対価として受領したサンドウィッチマン賃金二〇万五、〇〇〇円捨て看板代九七万五、〇〇〇円(単価六五〇円)、合計一一八万円に関する請求書及び領収証として、なんらかの理由により上記偽造にかかる請求書及び領収証を被告会社に差し入れたという合理的な疑いがあるといわなければならない。そうだとすると、右金員から、税務当局によって広告費として認められ原判決も同様に認定している、公表処理の同年九月三日付岩井(岩井喜代士と同一人と認める。)あて支払にかかる一〇万円(これは、被告人高橋カイの当審公判廷における供述によって右契約の手付金と認められる。)及び簿外の立て看板五〇〇本(捨て看板と同じものをいうと解される。)の代金三二万五、〇〇〇円を差し引いた残額七五万五、〇〇〇円は、広告費として損金に計上すべきものと認められる。したがって、これを否定した原判決は事実の認定を誤ったものといわざるをえない。

(八)  雑費について

所論の指摘するかわさき名義の二、五〇〇円の領収証(前同押号の二七雑書綴中のもの)、ナショナル花宛名義の一万円の領収証(同号の二八領収書および請求書等綴中のもの)及びイチャ商事株式会社名義の七、一四五円の領収証(右押収物件中のもの)について、原判決が、それぞれ理由をあげて右各領収証にかかる出費合計一万九、六四五円を被告会社の経費に関するものとは認めがたいとした判断は、当裁判所もこれを正当として是認することができる。

(九)  研修費について

所論指摘の見学費用一四七万六、五四〇円及びコーチ料一〇〇万円合計二四七万六、五四〇円をすべて被告会社の前記事業年度の経費と認めなかった原判決の判断は、その理由においても、結論においても正当であると考えられる。

以上の各論点につき、その他所論の主張するところをつぶさに検討し、記録及び証拠物を調査し、当審における事実取調の結果を併せ考慮しても、原判決には、上記広告費に関する事実認定の誤りを除き、所論指摘の事実誤認はない。

そこで、右広告費に関する事実誤認の判決に及ぼす影響について検討すると、右広告費七五万五、〇〇〇円を被告会社の損金に計上して、原判示事業年度における被告会社の実際総所得金額、法人税額及びほ脱額を算出した結果は、別紙(二)税額計算書記戴のとおりであって、これを原判決の認定と対比すると、総所得金額において七五万五、〇〇〇円の減少をきたすことにより、法人税額、したがって法人税ほ脱額において三〇万二、〇〇〇円の差額を生ずるにすぎず、右事実誤認は、とうてい判決に影響を及ぼすものとは考えられない。してみると、事実誤認の論旨は、結局すべて理由がないことに帰する。

第二控訴趣意第二点について

論旨は、被告人両名について量刑不当を主張するので、所論にかんがみ記録及び証拠物を調査し、当審における事実取調の結果をも参酌して検討するのに、原判示事業年度における被告会社の総所得金額、法人税額及びほ脱額、被告会社の営業の実態、被告人の被告会社における地位並びに被告人の経歴等の諸事情、ことに右ほ脱額が、総所得金額において一億三、〇〇〇万円、法人税額において五、四〇〇万円を超え、法人税ほ脱率が、九八・九パーセントに達していることに照らすと、その犯情は重く、所論指摘の諸点を含め、本件証拠上認められる被告人らのために酌むべき事情を斟酌しても、被告会社を罰金一、七〇〇万円に、被告人高橋カイを懲役一年、三年間刑執行猶予に処した原判決の量刑が不当に重いとは考えられない。論旨は理由がない。

よって、刑事訴訟法三九六条により主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石松竹雄 裁判官 鈴木清子 裁判官 安原浩)

別紙(一) 入浴客数、タオル使用総数一覧表

<省略>

別紙(二)

税額計算書

自 昭和51年7月1日

至 昭和52年6月30日

(有)徳島商事

<省略>

原判決との差は、実際総所得額において755,000円、税額において302,000円である。

昭和五八年(う)第二四八号

控訴趣意書

法人税法違反

被告人 有限会社 徳島商事

被告人 高橋カイ

右被告人らに対する頭書被告事件につき、昭和五七年九月二八日大阪地方裁判所が言渡した判決に対し、控訴を申し立てた理由は左記のとおりである。

昭和五八年三月二八日

弁護人弁護士 大槻龍馬

大阪高等裁判所第五刑事部 御中

第一点 原判決には、判決に影響を及ぼすべき事実の誤認がある。

一、総売上高に関する事実誤認

1. 入浴料収入に関する事実誤認

(一) 入浴料収入の推定計算は、タオル使用総数量が把握できるから一人当たり平均タオル使用数が把握できることになりひいては基本的な入浴料収入を算出できるという考え方によるものである。

ところが一人当たり平均タオル使用数量については、検察官は一・五セットを主張し、弁護人は一・五三セットを主張したのであるが、原判決は検察官の推計方法も弁護人の推計方法もともに各日毎のタオル使用総数の判明しない期間をその計算基礎としているので合理性がないとし、「入浴客数とタオルの使用総数が、いずれも物証により完全に確定できる期間中の入浴客一人当たりの平均タオル使用数を計算の基礎とするのが最も合理的と考える」として「別紙入浴数、タオル使用総数一覧表」を作成したうえ、右によれば一・四五となるが、検察官自身が一・五セットと主張している点を考慮して被告人らに有利に一・五セットを基準として計算認定するのが相当であるというのである。

(二) しかしながら、右の認定は、トルコ風呂の実体を知らず極めて形式的な判断をしたものであって、実体はタオル納入業者の納入数の全部が使用済となって返還されるものではなく、納入数量の約九〇パーセントが返還されており、残りの約一〇パーセントは、納入後使用されないままホステスらが勝手に持帰ったり、雑巾代りに使ってしまったりするものであって、納入数量がそのまま使用数量となりそれが直ちに入浴客数の推定計算の根拠となるものではないのである。

従って原判決の「物証によって完全に推定できる」というのはあまりにも物証を過信したものであってそのこと自体合理性からかけ離れてしまうことになるのである。例えば原判決が最も合理的なりとしている前記一覧表によれば次の三日分はかりに一人一人セットとしても二二二名の入浴客のうちタオルを全く使わなかった客が六三名もあるという現実には到底あり得ない事象の存在を肯定することになるのである。

<省略>

(三) 本件ではタオル納入数量は納入業者からの関係資料によって正確に把握できるが、使用数量を正確に把握できる資料がない。

本件当時の被告会社の事務は極めて杜撰であり、後述の領収証の整理保管の杜撰さに鑑みても、タオル使用に関する記録が正確になされていなかったものと思われるぼかりか、記録係の知らないタオルの盗難転用などがあるから記録を絶対に正しいものとしての推定計算は結局前記のように明らかな誤りを露呈することになる。

弁護人主張の一・五三セットは、タオルの盗難転用を考慮から除外して控え目に主張したものであって合理性があり、かつ常識に叶ったものと考える。

そして右一・五三セットにより計算すると、入浴客数は原判決認定の二八、三七三名よりも五〇〇名少い二七、八七三名となる。

2. 延長料の計算に関する事実誤認

原審における弁論に際し、弁護人は延長料の計算をして主張するだけの時間的余裕がなく、高田貞夫の質問てん末書(昭和五二年一一月二四日付)第一問答において、「入浴料と延長料は、開店当時は入浴時四千円(入浴時間五〇分)、延長料として入浴時間をすぎた場合二〇分ごとに二、〇〇〇円、その後昭和五一年一二月一日から入浴料五、〇〇〇円に、延長料三、〇〇〇円に値上げしました。」との供述記戴と物証とを勘察して、算出すべきであることを主張するにとどめた。

本控訴趣意作成にあたり、被告会社の顧問斉藤光雄税理士に依頼し、右の方針で計算してもらった結果は次のとおりである。

<省略>

3. 以上のとおり、入浴料収入は、二〇〇、八六一、〇〇〇円であるから、原判決の認定額二〇五、一九三、〇〇〇円は事実を誤認したものである。

二、ドリンク代収入に関する事実誤認

原判決は、入浴客数二八、三七三名として、一人当たりのドリンク代五〇〇円の計算により、ドリンク代収入を一四、一六六、五〇〇円と認定したが、入浴客数が二七、八七三名なること前述のとおりであるから、結局ドリンク代収入は一三、九三六、五〇〇円となり、この点において事実を誤認している。

三、タオル使用料等収入に関する事実誤認

被告法人は、ホステス一人当たり一日に次のような代金を徴収していた。

(1) タオル使用料 二〇〇円(昭和五一年一〇月一日から)

(2) 掃除代 五〇〇円(昭和五一年七月二三日から)

(3) 食事代 一、〇〇〇円(昭和五二年二月初から四月末まで)

(4) ミニコール代 一、〇〇〇円(昭和五二年四月初から五月末まで)

右によって計算すれば、タオル使用料等収入は争いのないホステス数六、二〇三名で計算すると、合計七、八七一、三〇〇円となるが、原判決はこれを一一、九一八、三〇〇円と誤認したものである。

原判決の認定は、高田貞夫の質問のてん末書を主たる証拠としているが、その供述内容には真実に反する部分が見受けられるので当初不同意としていたが、同人の所在が転々として変り、証人喚問が望み薄となったので、やむなく証明力を争う旨の意見を付して同意したものである。

原判決は、被告人高橋カイが食事代を開店当初より徴収していたという調査段階における供述を、公判段階において前記のように昭和五二年二月初からと変更するに至った理由が明らかでないというが、原審では昭和五七年四月二二日(第一八回)公判において、裁判官の更送による更新手続がなされ、六月二一日(第一九回)検察官請求証拠の整理が行われ、その際七月一二日午前中及び七月一四日午前一〇時から午前一一時三〇分の間に、被告人高橋カイの本人質問、七月二〇日、論告求刑、八月九日、弁論と各期日が指定された。弁護人は、被告人高橋カイの本人質問は、右の時間では到底足りない旨申立てたが、裁判官より夏期休暇中に判決文を書きたいので、休暇に入るまでに弁論を終結するようにとの強い要求があり、反証は勿論、被告人本人質問さえ制限を受けたものであり、しかも従前と異り速記録は作成されず、七月一四日の本人質問の際に、前回の七月一二日の調書を謄写検討することもできない状態で、法廷に臨まざるを得ず、時間の関係上、質問内容が極めて大雑把となっていることは公判調書によって明らかである。

そのうえ、被告人高橋カイの夫高橋達雄は、大阪産業株式会社の法人税法違反により同会社とともに起訴され、右被告事件も同じ部に係属しており、七月一二日には、被告人高橋カイの本人質問のほかに右事件の論告がなされたため、一層本人質問の時間が短縮され、八月九日には、両事件の弁論を要求されたのである。

また検察官の論告要旨は、論告の数日後提出されることになっていたが、弁論の迫った八月五日になっても提出されず、弁護人より提出方の勧告を求めて漸く論告文の原稿を弁護人に交付されるという状態であった。以上のとおり、夏期休暇に入るまでに二件につき弁論を終結するという鉄則が打出されたために、それまでに弁護人の反証を尽くすことは、他事件の公判期日との関係で日程上都合がつかず、例えば八月五日には京都地裁で一五年係属の法人税法違反事件の弁論が指定され、その準備にも時間をとられた。

結局原審においては反証活動や弁論の準備が中途半端のまま判決を受けざるを得なかったのである。

従って被告人高橋カイの供述の一部が公判段階で変った理由を明らかにし、公判段階における供述の真実性を裏付ける反証活動もできていない。

かくて九月二八日両事件の判決宣告があり、本件の判決謄本は一二月二日下付された。

原判決は、調査捜査段階における供述が記憶も新しく信用できるとしているが、このような見解のもとに反証活動や被告人質問が制限されるのであれば、法廷における手続としては、調査・捜査段階で集められた証拠の取調だけで足ることになってしまうのであり、通常一般の刑事事件と複雑さにおいて著しく異る直税事件において原審における本件のような取扱いは初めて経験するところである。

要するに原判決は、審理不尽により社会通念に反した証拠の価値判断をなし前記のように事実を誤認したものである。

四、交際費に関する事実誤認

原判決は、弁護人の主張する交際費一一一、六五一円のすべてを認めていないが、次のものについては当然被告会社の交際費として認容さるべきである。

1. (株)大松 五四、二四六円(昭和51・9・28)

右は領収証(取扱者西岡と記戴あり)によって明らかであり、また判決は、(株)大松に対する支払はこれ以外にはないというが、昭和五一年一二月一四日、三〇、七九四円の支払が公表に計上されているのを見落している。

原判決のような認定がなされるのであれば、領収証作成者の西岡某の取調を求むべきであったし、総勘定元帳における右三〇、七九四円の記戴のあることも主張すべきであったのである。

2. カフエシャタン 一、三〇〇円(昭51・12・5)

原判決は領収証が上様扱いとなっており、公表上カフエシャタンの支払は他にないというが、カフエシャタンは喫茶ちゅうとともに被告会社の近くにある喫茶店であって被告会社では両店を利用していたのであるから、領収証がこれだけしかないというのはむしろ他にあったものが散逸したと思われ、上様扱いの領収証だからといって支払いの事実を否定できるものではなく、さらにそれが被告会社の領収書綴の中に存在しているのであるから、被告会社の支払いでないと断定することはできない。

3. キャバレーハワイ 一二、六七〇円(昭51・12・14)

鳥料理てころ 一一、七〇〇円(昭52・2・2)

原判決は、右二件は松丸元次郎の個人的経費というが、同人は元警察官で被告会社の代表取締役として客ともめごとが起きた時などにその始末をする役割などを担当し、そのため相手を飲食店へ連れて行って接待するようなことがあり、本件領収証はかかる場合のものである。

被告会社は、松丸元次郎に毎月二〇万円宛を支払っており、その他に同人の個人的経費をも被告会社が負担しなければならない場合は全くない。

五、消耗品費に関する事実誤認

吉田薬品(株)に対する支払のうち六、八四〇円の領収証分については、原判決がいうように検察官が簿外の消耗品として主張立証しているものに含まれていない。

また、原判決は、「昭和五一年一二月一三日の吉田薬品(株)に対する一一、三四五円の出費についてはこれを認定するに足りる証拠は何ら存しない。」と判示するが、そのようなことを主張し判断を求めたことはない。

なお、被告会社の経理が杜撰で領収証の整理が粗雑であるばかりでなく、被告人高橋カイは現金をもって廉売品を大量に買い、領収証をもらわなかったり、上様扱いの領収証をもらいこれを完全に経理に渡していないと思われる状況については、第八回公判における古野藤男の証言によっても明らかで、簿外の消耗品費の支払がまだ他にもあると思われる。

六、修繕費に関する事実誤認

1. 原判決は修繕費に関する支出のうち、椿本ロックサービスに対する四〇、四〇〇円を否認し、大工和田勇に対するもの一、三六八、七〇〇円の主張に対し、僅かに一〇三、一二五円を認めた。

2. 椿本ロックサービスに対する支払は、トルコ太閣の女子更衣室の鍵をとりかえたもので支払の事実は明白であり、領収証には椿本ロックサービスの捺印があるので、宛先・領収日付が白地で、印紙の割印がなく同社の他の領収証の用紙様式と異るからといって発行者から事情も確めないで支払の事実を否定することは、審理不尽であり、この程度の審理で右のような判断をなすことは、疑わしきは罰せずという刑事訴法の大原則を無視するものである。

3. 和田勇に対する支払は、被告人のトルコ風呂経営のための造作ないしは修理に関するものであるから賃借人たる被告人が負担することになっており、そのことは至極当然のことである。

和田勇の作業にかかるもので火星ビル本来の造作や修理に関するものはない。

4. 以上の理由により原判決は、椿本ロックサービス及び和田勇に対する修繕費に関する事実を誤認している。

七、広告費に関する事実誤認

被告会社が岩井喜代に対し、広告宣伝のため多数の絵看板、サンドイッチマンを注文し、その支払をして(株)図南の領収証をもらった事実は否定できない。

ところが、公表上僅かに岩井に対する一〇万円の支出があるだけで、その他右事実に見合うべき支出は全然なく、検察官は簿外のものとして立看板五〇〇本(三二五、〇〇〇円)を認めているがこれも右に該当するものではない。

原判決は、証人太田桂子の証言により(株)図南の領収証が偽造であることから、その支払いの事実がないと判断しているが、これはブローカーが暗躍する広告業界の実体を知らない誤った判断である。

ブローカーの岩井が、図南以外の業者に簿外取引という条件で安く請負わせ、被告会社に高く売りつけようとしたが、その業者の請求書や領収証がもらえないため、倒産した(株)図南の用紙をもらって使用したり無断で使用するようなことが考えられ、このようなことの有無については、証人太田桂子の証言だけではいずれとも判断することができず、太田桂子自身も主人に聞いていないからわからないと答えているのである。

八、雑費に関する事実誤認

原判決は、被告会社の雑費の支出として主張した次のものを全く認めていない。

1. かわさき 二、五〇〇円(昭51・9・3)

2. ナショナル花 一〇、〇〇〇円(昭51・10・29)

3. イチヤ商事(株) 七、一四五円

被告人高橋カイは、1は、文房具屋と思う。2は、六階受付に飾る花代、3は、タイムカード代と説明しており、これらの領収証はいずれも徳島商事もしくは太閣、火星となっていて、原判決が被告会社の経費以外の出捐というのは明かに誤っている。

原判決のような認定をするためには 領収証作成者を取調べる必要があるのに、これをしないで判断を示すことは審理不尽でありかつこれによって事実を誤認するものである。

九、研修費に関する事実誤認

原判決は、弁護人の主張する研修費一、四七六、五四〇円及び金某に対するコーチ料一〇〇万円の支出を否定している。

右に関する被告人高橋カイ・奥野一義らの供述は、既に調査段階からなされているが、原判決は、高田貞夫の見学に行ったのは開業前である旨の供述を根拠に、被告人高橋カイらの供述は信用できないというのである。

しかしながら、高田はトルコ業界では経験も古く見学の必要は殆んどないが、被告人高橋カイは、初めての事業であることと、経営者として高田のような支配人を如何に処遇していくかについては別個に知識を得る必要があったから、高田の供述だけをもって被告人高橋カイらの供述の信用性を完全に減殺できるとの判断はやはりトルコ風呂業界の実体を知らないことにより誤ったものといわなければならない。

以上述べた各事実の誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

第二点 原判決の刑の量定は不当に重い。

原判決は、被告会社を罰金一、七〇〇万円に、被告人高橋カイを懲役一年(三年間執行猶予)に処したが、右量刑は、原判決の事実認定どおりとしてもその逋脱額は起訴額より減少しており、本件は被告人高橋カイとして初めての事業であり、しかもその初年度が摘発されたものであること、夫高橋達雄とともに夫婦が起訴されていること。本件以後反省悔悟していることなどに鑑みると不当に重いものといわなければならない。

以上の諸事由により原判決を破棄しさらに相当の裁判を仰ぎたく本件控訴に及んだ次第である。

なお、入浴料収入について、原審で具体的な数字をもって主張していないのは、計算に時間的余裕がなかったためであり、その他本件では原審における審理不尽が著しく、事後審である訴訟審においてなお多数の証拠調をして頂かねばならないことになるが、かようなことは審級の性格上不相当と思われるから原判決を磅棄し、原審に差戻し審理を命じられるのが相当と考えられる。 以上

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